【心の名機】スロッター金太郎(ロデオ)

びよぅ、びよぅ、と琵琶が啼く──。
寒々風が吹きすさぶ荒野。
瑕だらけの骸が転がる饗応の足跡。
物言わぬ兵が──溢れ出た目玉の奥の脳髄で想う、虚しい栄華の匂い。
琵琶法師曰く。

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ
偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ──。

……これは超有名な「平家物語」の冒頭の辞だ。
とんでもない名文なんで、暗記しといた方がいい。
意味をザックリ意訳するとこうなる。

偉いインドの坊さんがついたの鐘の音は、なんか切ねぇ。
シャラノキの花はすぐ枯れちゃうから、やっぱなんか切ねぇ。
結局みんないつかさよならすんだよ。
うたかたの夢みたいなもんだ。
偉そうにしてる野郎も、風が吹けばすっとばされるチリみたいなもんだ。

イエア。
名文だ。

平家物語は鎌倉時代を舞台にした「貴族の没落」の話だ。
源氏と平氏が出てくる戦記の側面もあるんで作中は「どっちかが勝ってどっちかが負ける」。
さて、どっちが勝つか?
てかこれマジで中学生レベルの問題なんで知らんとちょっとマズイ。
知らん人は今覚えよう。
「保元・平治の乱」で勝つのは「平氏」だ。
ただし作中、メインの話になるのは勝った平氏の「その後の没落」なので注意。
この辺りの「滅びの美学」的な雰囲気はホントに「盛者必衰の理をあらわす」という言葉通りなんだけど、勝ったほうが滅びる様を描くというのがブンガクブンガクしてて凄いよね。
しかもそれをびよぅびよぅと琵琶かき鳴らして鬱々と歌い上げる法師。
いやー、いいね。鳥肌立つよ。素晴らしい。
こういう薄暗くてグロテスクな雰囲気って、マジで日本の中世にのみ存在するスペシャルなアレだと思うよ。
時期で言うと成吉思汗(チンギス・ハーン)でお馴染みの「元」の成立すこし前。
井上靖先生の「蒼き狼」なんかを読むと、結構カラッとした雰囲気の英雄譚に近いんだけど、ハーンがイケイケで金国を攻撃してる時に本邦ではびよぅびよぅ……ぎおんしょうじゃのぉぉかねのいろぉぉ……だからね。
薄暗い! 薄暗いコレ! スペシャル!
ヨーロッパでいうと……十字軍のエジプト侵攻あたりだけど、この辺りはつまんねーからどうでもいい。

ハーンのイケイケ感と十字軍のグダグダ感。
それを尻目に、源平の切ない感じ。
ホントよく棲み分け出来てるよ、世界史。
面白いね!

というわけで本日はスロ打ちながらにして盛者必衰の理を思う存分味わえる名機「スロッター金太郎」について。
ロデオがバッチリやらかした台だ。

●時速5000枚。

ええと、まずこの台を語る前の前日譚として、ロデオ最強の名機「サラリーマン金太郎」について語る必要がある。
サラリーマン金太郎。俗称サラ金。

みぎぃ!ひだりぃ!スィンゴーボーナァ!みぎぃ!ひだりぃ!よっしゃー!(15枚)

これね。
これ、マジでスロ界に燦然と輝く超名機なんで、いまさら語る必要も無い程なんだけど、一応打ったこと無い人のために時代背景を説明しますと、当時はまだ「爆裂規制」が甘々だった頃で、各社共にひたすら「出玉を追求できてた」時代のど真ん中にぶっ放された台だったんだ。
スロのセントラルドグマである「ボーナス時は1枚がけのワンライン」「ジャックゲーム払い出しは15枚」ってのをフル活用しつつ、集中非搭載でありながら通常時超高確率で成立するシングルボーナスを出玉装置に利用する事で「時速5000枚」を謳った超絶爆裂機だったんだよ。
実際に5000枚出るかどうかはさておいて、まあナビ100が3連続で選択されるというミラクルを達成すれば確かに楽勝で5000枚は出るんで、看板にギリギリ偽りナシという所だろう。
マジでうっかり連チャンすると余裕で万枚だった。

懐かしい思い出としては、当時付き合ってたHちゃんという女の子との連れ打ちの際、「ボゥンッ」という音がして肩を叩かれ、ふとみると左リール中段赤の一確目が出現しててね。
「あー、ボナだね」とか思って見てたら揃わないんですよ、ボナ。
普段そんな所狙わないからてっきりボナだとしか思ってなかったし、そもそもボナ確定のエフェクト出てたから間違いないハズなんだけど、どうやらそれはリプから昇格する「高確B」中の「純ハズレ」だったらしくてさ。
サラ金の高確B中の純ハズレは問答無用でAT当選で、しかも最低振り分けが11連とかいう鬼仕様になってて、俺もう勃起しながら横で眺めてたね。彼女とは言え他人ごとながら、アレはすげー興奮したよ。

サラ金の11連っつったらよっぽど運が悪くない限りまず勝てる。

そっから3%の振り分けのAT100を引けるかどうかに全て掛かってるとは言え、最低11回ありゃ上乗せもしそうだし、どっかで何かハネるはずなんだよ。
実際Hちゃんはそこで30を2回、100を1回カマし、更にはボナを挟んでハッピハズレのリールフラッシュ(純ハズレ)で上乗せカマして余裕で7000枚出してた。二時間足らずで。
俺は俺で隣の「ハクション大魔王」でそれなりに爆裂し、なんか知らんがめっちゃ勃起だよマジで。恐るべし爆裂機。
その夜はホールのそばのステーキ屋で神戸牛食って、んで近所のホテルですげー勢いでちんまん体操したもんだったわ。

あれはいい思い出だよ。
カムバック青春って感じ。

(追記……どうやら一確目は純ハズレの一部で選択される強ハズレだった模様。ご指摘サンクス!)

ええと、サラ金。あれはホントいい機種だった。
運良く全6イベで何度か打てていずれも機械割通りに炸裂したんで生涯成績もプラスだしホントに言うことナシの超名機だと思う。
まあ低設定のマゾさとか通常時のクソつまらなさとか色々プロブレムもあるんだけど、それにしても、炸裂中のイケイケ感がこれほどまでにグイグイ来る台もそうそうなかったと思う。

で、そんなサラ金もあのクソ忌々しい爆裂機規制の影響をモロに受けて撤去され、その後リリースされたのが本機、「スロッター金太郎」だった。

●どんな台だったか。

スロッター金太郎(以下スロ金)。
これねぇ、ほんと打てば打つほど悲しくなる台だったよ。
一回だけクッソ炸裂させた事があるけど、それ以外は泣けるほど出なかった。
理由はシステムの大幅劣化だ。
前作とスロ金の違いをザックリ説明すると……。

サラ金

・AT抽選は通常時の純ハズレで複数ストック。
・当選個数は最大30個。
・AT一個あたりのナビ数は最低5、最大100。
・AT中の純ハズレで「AT個数」上乗せ

スロ金

・AT抽選は主にビッグ成立時。(特殊条件もあり)
・当選個数は1個。
・AT一個あたりのナビ数は最低5、最大200。
・AT中のボナで「ナビ個数」上乗せ。

以上。
まあ別ゲーと言って良い。
というか完全に別ゲーだ。
一番ヤバイのがそれぞれ最下段の上乗せ仕様の変化。
やっぱサラ金って「消化しても消化してもATが止まらない」って状況で100とか引いた時の「これは風俗ですわ」って感じが素晴らしかったのに、スロ金は上乗せの基本がナビ回数になったことにより、あからさまに出玉の頭が切られてるのが非常に痛かった。
確かにサラ金よりATに入りやすかったりとマイルドになっては居るし、当時としては異例の一撃3000枚以上確定である「ナビ200」を薄くはあれ搭載してたりと、頑張っては居るんだよロデオ。
これだけみれば充分に名機だし演出もそれなりな感じで楽しめたのは間違いないんだけど、しかしやっぱオリンピアが頑張って「黄金神」とか出そうとしてる時期にこの仕様はちょっと痛い。
悪くないんだよホント。だけど規制のソニックブームをおもいっきりブチ受けてる感じがひしひしと感じられて、爆裂機ファンとしては物凄く悲しい気分になった感は否めないね。

俺と同じく爆裂機を愛してた当時のスロッターの多くはまさしく俺と同じように、この機種を打つ度に、「盛者必衰の理」をひしひしと感じて、なんだか切ない気分になったと思う。
俺なんかホント琵琶の音聞こえてきたからね。
そしてその琵琶の音は、ありしひの輝いてた金太郎を知ってる人々は、ほぼ全員が耳にした幻聴だと思うよ。
切ないもんだぜ。
……純増減らしてもいいから純ハズレ式のAT機だったら全然違ったんだろうけどね、受ける印象。
だけど、状況がそれを許さなかったんだろうね。
そう考えるとギリギリまで踏ん張って「黄金神」出したオリンピアはすげーと思う。
あれホント全くAT入らない上に、液晶演出はだいたいピラミッドの前で奴隷が石運んでるだけなんだけども、それでもありしひの爆裂機の匂いを感じることは、まだ出来た気がするもんね。

あと、そういえば個人的に思うんだけども、オートマティックやらデストロイヤーやら、「BIG成立で抽選」式のAT機って基本全部爆死してると思う。
基本的にATスキーって高確率で純ハズレ引いて奇数の上の方のセットにブチ込んでって「様式美」を楽しんでた部分がデカいと思うんで、その大前提をブチ抜くような機種ってのは、受け入れられなかったんだろうな、と推測。
我が身を振り返って。

 

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【心の名機】スロッター金太郎(ロデオ) への8件のコメント

  1. チャラブティ より:

    おざっす。

    ハクション大魔王大好きだったなー。

    自分はスロ金も好きでした。ボーナスさえ引けば抽選は受けてるっていう
    事実が嫌いじゃなかった。ボーナス時は赤七ばかり揃えてましたね。
    レギュラーも全外しすれば10分の1だったかな?ロングATの抽選が
    あったりして自分でギャンブル性を上げられたりして。

    サラ金はATにたどり着くまでに、ボーナスが重くて力尽きたりして
    負けまくってた。店や台選びも悪かったんだろうけど。

    • あしの より:

      チャラブティさん。
      チワッス!
      スロ金、キライじゃなかったっす俺もw
      でもなぁ、勝てなかったなぁほんと……。
      そうそう。確かボナの色でゲーム性選択できましたねコレ。
      その辺はやっぱロデオは良く作りこんでますね!
      そしてハクション大魔王。
      アレはホント大好きです。
      また打ちたい……。実機欲しい……。

  2. いっぴれん より:

    サラ金→サラ金S→スロ金と、規制前後はややこしいすね。当時を知らないので何が何やら(北斗世代乙)

    そういう「スロ史」をサミーの新卒教育とかでやるんでしょうかね。
    フォォ!ミ(2003)ズホめ!ミリゴの乱
    とかノートに黄色マーカー引いて。

    • あしの より:

      いっぴれんさん。
      チワッス!
      ミリゴの乱! ああwいいなぁその新人研修受けてみたいw
      ちなみに個人的に一番ややこしいなぁと思うのは5号機初期の「北斗」乱発らへんですw
      闘とか将とか何か色々ありましたねぇ。
      未だにどれがどれだか分からないですw

  3. のしあ より:

    サラ金はあんなに好きだったのに、スロ金でがっくしきた記憶があります。
    確かボナからしかATに入らない。
    800枚くらい出して、よくがんばったーって思った気がします。
    事故が起こせない台だったような。
    そのころは確かマジックパルサーって機種が活躍?してた頃だったかな。
    まぁ良くできた機種だったのに、時期の問題でってのはわかります。
    サバンナパークと獣王の関係もこんな感じなのでしょうか?

    • あしの より:

      のしあさん。
      チワッス!
      そう。ボナからATの機種ですねーこれ。
      ナビの振り分けの最大が200ってのは夢ありますけど……いやー無理w
      そしてマジパル。あれ名機でしたねー。
      俺は凄く好きでしたよ。
      エルビジョン機の中では一番かも。
      プラネットとどっちがいいか迷う感じですね。
      サバンナパークと獣王もまさしくそんな感じっすぜー。
      一応は「後継機」じゃないという扱いなんですけども、いや、どうみても後継機ですよねアレは。

  4. 名無しの5円スロッター たまに1円パチンカー より:

    サラリーマン金太郎は、出しても7000枚(個人的には出した方)でしたが、スロッター金太郎は1000枚出した事無いです(´・ω・`)

    東京時代に、寂れ切ったパチ屋(しかも7枚交換)で、サラ金で自力で5000枚出した時は、店主のおいちゃんに『一箱おまけするからやめてくれ』って言われて、ありがたく2000枚加算(パチ用の箱でしたから、むしろありがたく頂戴しました)して頂きました。
    で、懲りずに翌日その店にアトランチスドーム打ちに行くというねwwwww

    黄金神は、個人的には当たりやすいけど伸びない(多分少数派意見)感覚でしたね…初あたりはヒキがいいけど、伸ばす運気は無いって感じです。

    4号機ミリゴといい、キツイ台ほどスロ神様に恩恵を頂く傾向にあるかもです。
    ジャグラーで一人で970回転ハマリカマす癖に言えたセリフじゃ無いですが…

    • あしの より:

      ゴスロタマイチさん。
      チワッス。
      スロ金みたいな「ボナ後にAT入る台」ってマジでホントにダメでした俺。
      唯一スロ金で一回だけ炸裂させた事がある程度で、あと全敗かもです。
      特にデストロイヤーがヤバかったっす。当たらない当たらないw
      そしてその「一箱おまけエピソード」すげえw
      古き良き時代ですねー!

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