プロはすごい、という話。

おはようございますあしのです。
ただいま時刻は午前9時。
あと一時間後には「しゃせー」っていうお仕事に出撃する。
今朝は寝ずにいろんなものを書いてた。
んで七時くらいに一段落したんで掃除したり洗濯したりしてた感じ。
掃除は嫌いじゃないんだけども、やりだすと止まらんのが分かってるので、忙しい時は極力貯めてから一気に片付けるようにしてるのだけど、やっぱ棲家が薄汚れてると精神的にもヤサグレて来るものらしく、創作にも悪影響甚だしき候。
掃除はこまめにやんなきゃダメぽん。

さて。

本日はスロに全く関係ない話。
プロはすげえな! というネタです。

●写真について。

一年ほど前のある日。俺は新宿の居酒屋で酒をかっ喰らっていた。
周りには二十名ほどのスーツ姿がいて、各々俺と同じように──ヤケ気味に酒をかっ喰らったり、クダを撒いたりしていた。
不機嫌な集団だった。
それもそのはず。
我々は「負け犬」だった。
しかも数時間前に『チーム全員撤退』が決まりたてホヤホヤの、とある通信回線の店舗営業部隊だったのである。
月一のミーティングで新宿くんだりまで行ってその場で撤退を告げられ、その足で謎の「決起集会」なるイベントを上司の発案で執り行う事になったので、渋々ながらもこうして飲んでるわけだ。
今から全員丸裸で社会の荒波に放り出されるのに、なにが決起なのか──。
何一つ訳がわからぬままに飲んでると気が立って来た。
借りきった地下の一角。
ほうぼうで怒鳴り声がしたり、あるいは陰謀めいた密談がぼそぼそ……ぼそぼそ……。

──最低の飲み会だった。

とはいえ、俺が所属する足立のお店の人間はまだ社歴が浅いぶんマシなほうで。
俺らよりずっと以前から居て、チームである程度の地位を確立してた連中の集まりは、そりゃあ酷いもんだった。
異様というか、お通夜というか。

「死にたいです」

ぼそりと誰かがつぶやいた。
俺の向かいに座る、ポチ丸くんという男だった。

銀二さん。オカティスさん。タナトスさん。コクビッシュさん。ワタヤミー。こもたん。

みんなもう居ない。
敗戦処理に残された古株は、もはや俺とポチ丸くんだけになってしまっていた。
国破れて山河ありだ。
いや、山河もない。
真っ白な、平たい世界。
希望がない代わりに絶望もない。
無味無臭。無意味な世界だ。

「奇遇だね。俺もだよ。馬鹿馬鹿しい」

応えると。ポチ丸くんは薄く笑った。
それから水割りをグイッと煽り、酒くさい息を吐いた。

「あしのさん。俺思うんですよ」
「うん?」
「人間、起きてたら眠くなるじゃないですか」
「うん」
「同じく、生きてたら死にたくなるんじゃないかなと」
「だいぶキてんなポチ丸くん……」

店の壁に据え付けられたスピーカーから嘉門達夫の歌う「平成天才バカボン」のテーマが流れていた。

バカボンのパパはタリラリラン。
ママも一緒にタリラリラン。
はじめちゃんも一緒にタリラリラン。
これでいいのだ反対の賛成。
これでいいのだ反対の賛成。

「なあ、ポチ丸くんよ」
「……はい」
「このクソみたいな飲み会は、一体どこの馬鹿が企画しやがったんだ……?」
「さあ……まあ誰だっていいんじゃないですかね……死にたいです……」
「……なぁ。聞いていいのか分からんが……キミはこれからどうするんだ……?」
「さあ……。こっちが聞きたいですね……はぁ……リスカしよ……」

その時だ。
俺の目の端にちょっとした希望が見えた。
向かいのテーブル。
わかりやすく面白い体型をした男が、何か食ってた。
チキンである。
貪り食ってた。
彼は足立店に最後に入ってきた男で、社歴はまだ二ヶ月とかそのくらいだった。
入って二ヶ月でいきなり全員撤退とか呪われし経歴だと思うのだけど、逆に言うと今回の騒動の煽りやらなにやらも全く受けてない様子で、普通にチキン食ってた。

名前は安藤くんという。
よしもとの学校に通ってる、お笑い芸人のタマゴだった。

「おいポチ丸くん……」
「なんですか……あしのさん……」
「やっこさん見てみろよ……。楽しそうにチキン食ってるぜ……」
「ああ……なんか癒されますね……」
「なんだろうなぁ……。デブがメシ食ってるところってなんでこんなに癒やされるんだろう……」
「なんででしょうねぇ……。なんか僕、もうちょっと生きてみようかって気分になってきました……」
「ああ……俺もだよ……」

席を立って、ふらふらと安藤くんのところに向かった。

「安藤くん。お疲れ」
「あ、あしのさん! お疲れ様です。このチキン凄い美味しいですよ!」
「そうか……よかったらアッチのテーブルのもお食べ……」
「いいんですか!」
「いいよ……俺とポチ丸くんはもうお腹いっぱいだよ……」
「ありがとう御座います! 失礼します!」

んで、その追加の一皿をかっ喰らってるところを、なんとなく撮った一枚がこれ。

S__10944517

タイトルは「大変な状況でチキンを食べるデブ」。
だった。

だった?

そう、実はこの写真、その後とあるカメラマンさんの目に止まり、ヒルトンの催事場にてパネルにして展示されるというミラクルが起きたのである。
タイトルは企画にあわせ「彩り」に改題となった。
おれは仕事のシフトの関係上どうしても観に行くことが出来なかったんだが、見た人の感想によると「すげー目立ってた」との事。
特に受賞とかそういうのは無いのだが、推してくれてたカメラマンさんいわく「シロ(オレのこと)の作品が一番良かったと俺は思う」らしいので、これはもう社交辞令としてもかなり嬉しい部類のやつでした。
ありがとうございます……!

ちなみにこのデブの人は現在「セカンド・ヘルピング」というコンビで活動中だったりする。
展示されたパネルを渡す時、俺とえとこ姫(彼女)と安藤くんの三人で鳥貴族に行き、雑炊をひたすら食い続けるという謎のイベントが開催されたんだけども、それがもう半年ほど前。
今後どうなるかサッパリ予測ができないが、きっと体格と同じくらいビッグな芸人になってくれると思う。
頑張れ! 安藤くん! イエア!

そして時は進む。

●飲み屋にて。

上記の件があったから……というか何気にそのまえからだけども、己が裡に「もしかして俺って写真のセンスがあるんじゃねぇかな?」みたいな、ふわっとした自信? というか思い込み? みたいなのを軽く持っておりまして。
特にガッツリ勉強したりとかそういうのは全くないし、そもそもの知識とかサッパリねぇくせに、だ。

多分俺はこの分野で戦ったら勝つだろう。
ただし戦った経験はまだない。
戦おうと思えばいつでも戦えるが、今はその時じゃない。
そして往々にして。その「時」は永遠に来ない。

ワナビーと呼ばれる──……もしくは「自称○○家」と呼ばれる人に多いパターンだ。
超恥ずかしいんだけども、俺はわりとそういうところがある。
まあ、そういう身の程知らずな全能感とか、あるいは過剰な自信とか過信というのは、ものを作ったり創ったりする上では結構重要な原動力になったりするわけでして。あんまり頭ごなしに否定しちゃダメなのものだとは思うのだけども、でも36ですから俺。もはや。不惑に片足をブチ込んだ年齢で……あるいは同年代の連中がポンポン子供作ってパパ感バリバリになってるところで「おれもしかして写真うめぇんじゃねぇかな?」とか言って悦に入ってるのって、もはや仲良し学級感すら漂ってると思う。

んで、先日だ。

横浜の街を彼女と散策して、いろんな写真を撮影する機会があった。
桜が満開だったし、ちょっと肌寒かったけども、西日が綺麗な橙色で、散歩日和だった。
撮りたかった写真を撮影して、お腹いっぱい散歩して、お寿司食べて、そしてその帰り道だ。
ちょっと酒が飲みたくなって、近所のバーに寄ったのだ。

店内にお客さんは四人。
みんな顔見知りだった。
んで、その中に、例のデブの写真を評価してくれたカメラマンさんの姿があった。
必定、話は本日撮った写真についてになり……、止せばいいのに、俺は彼に自分の「作品」を見せる事に相成った次第でして。
いやあまあ見せるのは問題ないんだよ。
自分がアウトプットしたものを提示するのには慣れてるし、恥ずかしさとかも全然ないんだけども。
ただ、相手はプロの人だし、以前写真を高評価してくれた以上、沽券に関わってくる。
桜とか神社とか、神社とか地面とか……まあ色々撮った。
問題はどれを見せるか。
選ぶうちに、どれもショボイ写真に見えてきて。
悩んだ挙句。俺はプロの人にコレを見せることにした。

S__10944518

パックンチョ。
自動販売機にパックンチョ売ってあんだよ横浜。
たまげた。
これは激写するしかない。
んで激写したならもう俺の作品だし。
中途半端に頑張った素人くさい作品を見せるよりも、こういう時はパックンチョくらいカマしといた方がインパクトある筈。
とか思ったんだけども、いや、流石に無かった。パックンチョは。

「……なにこれ」
「いやぁ……自動販売機にパックンチョが売ってありまして」
「ほう……。キミらしいねぇ……」
「はぁ……ありがとう御座います……」
「他は?」
「……え?」
「他、何か無いの?」
「い、いやぁ……」

と、俺の頭に一枚の写真が浮かんだ。
俺じゃなくて、彼女が撮った写真だ。
何か見た瞬間「あ、上手い」と思ったんで、LINEを通じて送って貰ったのがあった。
あの写真を、プロの人はどう判断するんだろう。

「あの……俺の写真じゃないんですけども、ちょっと一枚見てもらいたいのがありまして……」
「おお。どれ?」
「これです……」

S__10944519

解体途中の橋の写真。
行く道もなく。
帰る道もない。
切り取られたフレームの中に「今」という時間を感じる。
橋桁の向こうには綺羅びやかな街の明かりが見えて──。
報われない現実。
理想とは違う自分。
否が応でも匂い立つ、冷たい孤独感。
平面の中に、確かなストーリーがあった。

「おお! いいねこれ!」
「い、いいですか!」
「うん。俺コレ好きだな……。こういうテーマ性が感じられる作品が好きなんだよ俺」
「わ、分かる。いいですよねこれ。やっぱこれかぁ……。こういうのか……」

彼女の写真、絶賛。
パックンチョ見せてる場合じゃなかった。
なんだか負けた気分で酒を煽ってたら、「じゃあプロの作品はどうなんだろう」という素朴な疑問が湧いてきた。
聞けば、彼は今日も上野公園を散策しつつ、朝五時から撮影を敢行してきたばかりらしい。
失礼かな、と思いつつ、見せてください……とお願いすると。
彼はデジカメの画面を覗き込みながら笑った。

「今日は1000枚くらい撮ったけど……うーん、どれがいいかな……」

と、画面を送るカメラマンさん。
一発目に表示されてる写真がいきなりこれだった。

image1

戦うカラスちこ。
奇しくも二羽の翼が環状になってて、円の形の空間が画面の中央にできてる。
生きる事そのものが形作る円環──。
サンサーラ。輪廻転生。
縁と絆が紡ぎ、DNAと染色体が運ぶいのちの連鎖。
餌場を巡って争うカラスも、広い意味では親愛なる仲間なのである。

「ぬぐおおおッ! ちょっとまった──! なんじゃこりゃッ!」
「ん。なに……?」
「一枚目いきなりすげえ!」
「え。普通じゃんこんなの」
「普通すか!?」
「普通だよ」

一日に何千枚も撮ってるんだよこの人。
んで、その人が朝一のだいぶ早い段階で撮ったのがこれなんだ。
つまり、これは特別優れたクオリティのやつとかじゃなくて、むしろ暖機運転中のアクセルに近い。
ブボボボつってエンジン温めながらカマした一枚がこの命の曼荼羅みたいな美しい一枚なんだよ。

プロ。

なんかね。俺もう「写真うまいかもしれないと思ってた自分」にローリングソバットしたい気分になった。
同時にパックンチョをドヤ顔してた五分前の自分を思い出してオエップってなった。恥ずかしすぎて。オエップ。

いやぁ。プロはすげえ。
というか、プロの人が撮った写真って基本的に加工してあんだよ今。
こういう、出来上がる前の無加工の写真ってなかなか見れないんで結構ビビった。
やっぱすげーうまい。
そして俺のパックンチョなんだこれ。
クソか? クソなのか?

結論。

やっぱなんの分野でも、それでお金もらってるプロってのはすごい。
俺も物書きの端くれとして、ちゃんとしたものを作らにゃならんと再確認した。
ジャンル違いの何かにチャレンジするときも、パックンチョに逃げず。
ちゃんとファイティングポーズとって戦おう。と思った次第。

とりとめなし。
以上!

 

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プロはすごい、という話。 への6件のコメント

  1. じぇい より:

    復活して下さって、心底嬉しいです!

    • あしの より:

      じぇいさん!
      チワッス!
      復活した瞬間にめっちゃ更新停滞しててすいません!
      もうちょっとがんばります!

  2. ユウ より:

    はじめまして
    ユウと申します。

    当方、今年で30の男です。
    ふとしたことより、このブログを見つけ、楽しく拝見させていただきました。

    変なことを書きますが、毎日が虚しく、鬱々とした気分で過ごしています。

    そんな中拝見した、あしのさんの文章は大変小気味良く、自分でも不思議ですが「もう少し頑張ろう」という気持ちになりました。

    ありがとうございました。

    今後もご活躍なさることを切に祈っております。

    • あしの より:

      ゆうさん!チワッス!
      温かいお言葉、ありがとうございます。
      俺もそういうお言葉に報いるためにも、もう少しがんばりますね。
      お互い、頑張りましょう!

  3. 名無しの5円スロッター たまに1円パチンカー より:

    デブが美味そうに飯食うのは癒されるね、マジで。

    一昔前ならネットモデム配る派遣の連中見てきたけど、店子(流通業界の管理職)の俺らにも、禿電系のモデム配ろうという勢いやったからね。バイタリティは感じたわ。

    今ならオン〇ーモバイルとか?

    写真は一見、簡単そうだけど、深いわ。ニコンのデジタル一眼レフ買えばいいってもんじゃないよ。

    • あしの より:

      ごすろたまいちさん!
      チワッス!
      写真、マジでやってみたいのですよね。
      思う所あって。というか、自分の中のトラウマを乗り越えたい。本当に。
      これに関してはまた別枠で書きますね。

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