※こちらは2014年頃の記事の移植になります。若かりしころの勢いをお楽しみください。
早いもんで、もう梅雨の季節になった。
梅雨。
憂鬱なシーズンである。
面倒臭いんだよね。雨とか。
ツユともなると毎日毎日雨ばっかで、ホントに厭になる。
ツユ。バイウ。バイウハザード……。
ハザードラッシュッ!(笑顔)
というわけで今回はツユの季節に注意しとくべきあの問題について。
そう。
スロ屋での傘の取り扱いについて、だ。
●次はケツの毛か!
いきなりだが、ホールに限らず、すべての外出先においては基本的にコンビニ傘なんぞ「パクられても文句は言えない」。
もちろん能動的にパクるのはバッチリ犯罪なんだけど、一方で「うっかり間違えてもってっちゃう人」というのが一定数存在するからである。
理由はとても簡単で、特徴が一切無いからだ。
白い半透明ビニール傘を買ったのに、透明ビニール傘を持ってく人とかね。
その逆も然りである。
それが厭ならもう、名前でも書いとくか、またはコンビニ傘の使用をヤメて思っきりサイケデリックなデザインのを利用する以外ないのである。
なんせ特徴ないからね。コンビニ傘。
スロ屋に限らず、雨の日にある程度の客入りがあるお店の傘立ては、誰がどのコンビニ傘を持ってきたのか、もはやその所有権がカオス化する事間違いなしだ。
繰り返すがコンビニ傘限定の話である。
ディスイズ大量生産……!を地で行く、無特徴なあのビニール傘の事だ。
同じ傘使ってる人が十人も二十人も一同に介し、ドスンドスンと傘立ての穴っぽこにその先端からブチ込んでは絶賛大放置する、あの傘の事だ。
あんなもん、お釈迦さまでも「あれ、我の傘どれ?」ってなる。
なのでよく分かんなくなり、「他人の傘かも知れない」と悩んだ挙句、雨に濡れて帰る選択をするなど愚の骨頂なのである。
んなもん、気にしないで同じデザインのをガンガン持って帰るんだ。
どうせ値段おんなじだし、一生懸命自分のを探しても、結構な高確率であなたの傘はもうその傘立てには無いんだから。
気にしない気にしない……!
さて、スロ屋の場合。
基本的に「傘立て」はコイン式のものが多い。
これは100円をブチ込んでアレすると暗証番号を伴うロックがかかり、持ち帰るときは暗証番号を入力すると解錠されてコインが帰ってくる……みたいな感じのヤツだ。
暗証番号で本人確認をカマすので、誤って他人の傘をパクる可能性も、また悪意を持った乞食に意図的にパクられる可能性も、これにより激減する。
ただし、これにはひとつ大変な問題がある。
そう、暗証番号忘れる爺ちゃんが絶対いるんだよ。
んで傘取り出せなくなって、最終的にたどり着くのが激おこ状態だ。
マジで激おこ。
梅雨時の足立区のスロ屋ではもはや珍しくもなんともないんだよ。
コイン傘立ての所でプンスカ怒る爺に頭下げる店員さんの姿とか。
我が傘を
返せと怒鳴る
つゆのじじかな
一句読みたくなるくらいデフォ。
マジで良く見るよ。
まあ自分で設定した暗証番号を自分で忘れてるんだから基本的に爺自身が悪いんだけどさ。
んで爺もそれをうすうす気付いてるフシはあるんだけど、やっぱほら、基本負けてるからね爺は。
更に言うと、爺は勝ち負けは全部店が制御してると思ってるのが基本だからさ。
勝負に際して反省とか一切ないんだよ。
「あー、今日の立ち回りはちょっと考えたほうがいいな。反省しよう」とか、そういうの無いからね。
「クソッ。この店はあっちの店と違ってほんとに出さないな! プンスカ!」みたいな感じだからね。
その上、なんかわけわからん装置に傘がアブダクションされて返ってこないとなると、そりゃ怒髪も天をつく。
お前、金の上に俺の(コンビニ)傘まで取り上げるのか! 次はケツの毛か!? どこまで強欲なんだこの業突く張りが!
そう。
これがあるせいか、全ホールにデフォで導入しても良いレベルで便利なコイン式の傘立ても、イマイチ普及率的な伸びに限界があるんだよ。
巨大ホールになると費用はもとより上記のトラブルに見舞われる可能性も飛躍的に増大するし。
それに人的資源的にも無駄が出てくる。
つまり、スロに本来関係無い部分でのクレーム対応みたいなさ。
面倒だよね。
●コンドーム式。
んで、最近良く見るのが「敢えて傘立てを置いてないホール」だ。
これは百貨店とかになると昔から良く見かけてたけども、スロ屋もいよいよ傘立て撤去の機運がむくむくと高まってる気がする。
じゃあ傘を預けずにどうするのかっつうと、アレだ。コンドーム式のビニールみたいなのをスポッとハメて持ち歩く。
これ、見たことない人いるんだろうか。
一応説明するとだね。
ビニールあんじゃん。円筒形の、ペラッペラの。アレが何かクチを上に向けた状態でびろーんとブラ下がっててね。
それに傘を「えい」と差し込むと、なんか蒸着完了(0.05秒)って感じ。
雨だれを防ぎ、清潔に持ち歩く事ができますよ、みたいなの。
持ち歩くんだからパクリパクられの危険性やトラブルとは無縁。
だので、本来はやっぱ高級傘を多く持ち運ぶお客が多い百貨店とか重宝されてた方式だと思う。
スロ屋なんぞビニール傘以外の傘はまず見かけないド底辺が集まる地獄の釜みたいな所なんだから、ホントならこの方式はあんまり意味ねぇんだけど、やっぱ頭にカッとなってる客が傘までパクられてるとなると刃傷沙汰に発展しかねない危険を孕んでるワケでね。そういう意味で、なんかこう消極的な解決策ではあるけども、このコンドーム方式はだいぶ使い勝手が良いと思わるる。
でももちろん、スロ屋は百貨店じゃない。
ウォーキングが基本なんだよ、あれらの店は。
傘が邪魔になる、という局面なんぞ、それぞれの店子の中で商品を選んだり、試着したり、メシ食ったりするときだけに発生するものであってさ。
だからこそコンドーム式が早くから採用されてたと思うんだけども……。
しかして、スロ屋ってやっぱケツを落ち着けてスロ台とファイトするのが基本であってさ。
邪魔なんだよ、傘。
ましてコンドーム式のビニールを被せてるとは言え、なんか湿ってる感じだし。
んでまたこう、持ち手の部分が鈎状になってるという構造上、ひっかける某みたいなのがないと、傘ってどこにも立てかけづらいんだ。
台のサイドの、灰皿付きのスペース部分に立てかけるのにも高さ的に無理があるし、椅子に引っ掛けとくと後ろをオッサンが通過した時にぶつかって倒れてね。
ビターンッ! っつうんだまた。これが。
ビターンつってさ。
うるせえの。
傘ありのスロ。
面倒くせぇことこの上ねぇ。
そこで、俺は敢えて最強の解決策を提案したい。
簡単だ。
傘なんぞ差さなければ良い(なんだってぇ!)。
●経済人に学ぶ。
さて、そもそも論になるけど、なんで人は雨が降ったら傘を差すのか。
やっぱ濡れるのが気持ち悪いから。
あと、酸性雨が頭皮に著しいダメージになるからというのもある。
それから「洋服が汚れるのが厭」という方も居るだろう。
濡れネズミ状態を「みっともない」と感じる方も、多分にいるはずだ。
で、そこで俺が提唱したいのが「濡れてもスロ打ってればその内乾くからオッケー」説だ。
なんかもう身も蓋もねぇが、これは真理だと思う。
例えば世界規模の経済の中心地、ニューヨークの人々に関する有名な話がある。
知ってる人も多いはずだけど、それは「彼等がびっくりするくらい傘を差さない」事だ。
これは「インド人は手を使ってウンコを拭く」とか「オランダ人の八割はマリファナを愛好してる」みたいなステレオタイプな誤謬に近いかとおもいきや、実はニューヨーカーと傘の関係は意外とガチの話らしい。
俺も一回外人とこんな会話をしたことがある。
「キミはどっから来たんだい」
「テキサスだよ」
「へぇ。やっぱ馬で通学してたのかい」
「ハッハー。カウボーイって言いたいんだな。このサムライ野郎め」
「じゃあそっちのキミはどこから?」
「ニューヨークよ」
「ふうん。アンブレラの使い方分かる?」
「何回か使ったことあるから知ってるわ」
「ハハハ」
んでその子はジンビームをひとなめして、真顔で言った。
「てか冗談じゃなくて、ホントにニューヨークには傘売ってないわよ」
「マジ? なんで」
「タクシーがそこら中にいるし、サブウェイもあるじゃない」
……普通の理由だった。
要するに、必要ないから持ってないんだよ、彼等。
んで持ってないから差さない。
簡単な理屈だ。
てかタクシーの数と地下鉄の充実っぷりでいえば東京も負けてねぇと思う。
他の地域だったら必然的に自家用車の所有率があがるだろうし、条件は似たようなもんだ。
つまるところ、俺らも傘は要らないんだよ本来。
そりゃあ無いならないでちょっとは濡れるだろう。
だがそれだけだ。
すぐ乾く。
だから大丈夫。
傘なんぞ要らない。
なんせニューヨーカーが言ってるんだから間違いねぇ。
だからスロッター諸兄。
今年から傘差すの辞めよう。
一回やめて見よう。
めんどうじゃん傘。邪魔だしさ。
な? 辞めよう。
ギャンブル風水学的にも水に濡れた状態は縁起がいいらしいし、コペンハーゲン大学の研究によると、傘持ってないスロッターの万枚到達率は持ってるスロッターよりも三割ほど高いらしい。
あと全国コーヒーレディ協会が行なったアンケートでは、「傘を持ってるスロッターより、持ってないスロッターの方に、より強い男性的な魅力を感じる」という驚きの結果まで出てる。
ヤバイぜ。ノー傘。マジでヤバイ。
というわけでみんな、今年から傘禁止ね。
スロ屋に行くときは傘なし!
これが今年のトレンド! 以上!
……ふう。
こんだけいっとけば大丈夫だろう。
なんせ隣のオヤジの傘の雨だれが靴にポツポツ落ちるほど腹立つ事はネェからな……!
【2020年のあしの評】
おそらくは実際に打ってる時に隣の爺から雨だれを垂らされた怒りの勢いに任せて書いた、大変に若さあふれる作品。後半のニューヨーカー部分にどうにかして話を持っていこうと四苦八苦してる節が伺える。「コンドーム式のカバー」部分で若干中だるみするのが惜しいものの、ケツの部分でやや持ち直してる感じがする。改行のやり方とかが今とぜんぜん違うんで自分で読んでてなんとも言えない違和感を感じる一本である。
コメント