(※こちらは2013年頃に書いたエントリの移植版です。改行の気持ち悪さなどを含めお楽しみ下さい)
海賊とか忍者とか、それからヤンキーとか超能力とか、世の中にはありとあらゆる鉄板素材がある。
そんな中でニッチながらも定期的に採用されては消えていくのが「長距離トラックの運転手」モノ。
これは「デコトラ物」と言い換えてもいい。
果たしてどの層に人気があんのかさっぱり分からんのだが、だがよくよく考えてみると、「旅」との相性がすこぶる良い素材なんで、なんかその辺に人気の秘密がある気がする。
なのでこれは、トラック運転手、ではなく「長距離」トラックの運転手……というのがミソなんだ。
つまり移動出来ればなんでもいいんだろう。みんな旅したいんだ。きっと。
というわけで本日はロデオが2002年頃にぶっ込んだ名機「ギンギン丸」について。
●ギンちゃん。
北斗世代以降の人はコイツの事なんざさっぱり知らないと思うんだけど、見たことはたぶんある。
なぜならこの「ギンギン丸」の主人公の「ギンちゃん」は、ロデオ系の台のプレミア演出に採用されまくってるからだ。
緑色のジャンパー着たねじり鉢巻&角刈りのおっさん。見たことない? あるだろ? そう。それがギンちゃんだ。
俺ね、このジャンパーが緑ってのにすげー惹かれるんだ。
MA-1ってあるじゃない。
これおっさんは「ああ!」と思うかもしれんが、昔めっちゃ流行ったフライトジャケットだよ。
トップガンでトム・クルーズが着てて、そっからしばらくして日本でも大流行したんだ。
おれが中1くらいの頃がピークだったように思うけどさ。なんかこう、クラスでちょっとオシャレにうるさいよ俺、みたいなヤツとか、制服の上からMA-1着て学校来たりしてね。
でもこれ基本的に米軍の作業着みたいな感じだから、肩の所とかすっげモコってんだよ。
つまり体格がよっぽど良くねぇと似合わないんだこんなの。中学生が着たってさっぱりなんだけど、でもやっぱ「おー、シャレオツだなぁ」ってみんな思うわけでさ。
俺より上の世代の人とか、自分でMA-1買った人とか結構居ると思うんだよね。
もちろん今でも売ってるし、着てる人も一杯いるよ。でも体格良くないと似合わないんだよねこれ。ホント外人仕様だよ。
で、俺がギンギン丸のパネル見た時に思ったのは「あ、角刈りのオッサンがMA-1着てんな」という事だったんだ。
これはすごいリアリティだよ。
ギンちゃん確実に俺より上のオッサンだから、もうMA1世代ど真ん中なんだよね。
んでよくみると、ギンちゃんのMA1、肘のところが破けてパッチ充ててっからね。
これ物悲しいぜ。
昔はオシャレに敏感だったんだよギンちゃんも。
たぶん初デートの前の日に学ランで近所のイトーヨーカドーとか行ってよ。ニキビケア用品買ったりしてたんだよ。もう前の日にケアしてもしょうがねぇんだけど、でもなんかやんなきゃって。んでふと「あ、MA1流行ってんな……」って気づいてさ。明日、MA1着てったら格好いいかもしれないなーとか思ってさ。もしかしたら俺MA1めちゃくちゃ似合うかもしれないぞとかね。なんかもうそれ考えると居ても立ってもいらんなくなってチャリンコでアメ横まで二時間くらいかけて行ってさ。
そんでパチもん掴まされんだ、ギンちゃん。
よく見たらNA1だったりね。んでシューズがエアナックスだったりするんだよ。もうパチもんばっかなんだよ。ギンちゃん。悲しい男だよ。
んでそうやってパチもん掴まされたり就職して仕事が忙しくなったりしてるウチに、だんだんと面倒くさくなってきてさ。
もはやあの「NA1(パチもん)」も運転中の作業着だよ。
つぎはぎだらけでさ。
「服なんぞ着れりゃいいんだよ。着れりゃよ」が口癖なんだ。
なんかもう、パネルからそういうドラマが漂ってくんだ、ギンちゃん。
昔は「俺だけのベストアルバム」みたいなのをカセットテープに作るのが好きでさ。テプラでタイトルプリントしたりして、すっげー几帳面に作ってたんだよ。んで作り終わったあとに「あ、7曲目と8曲目は順番逆の方が盛り上がったかも」とかちょっと後悔したりね。そういう可愛い男だったんだよ、ギンちゃんは。
でもそんなギンちゃんも、もはや長距離トラックの運転中にAMラジオで「ジャパネットたかた」とか無表情で聴いてっからね。
ああ、ヤバイな俺、ギンちゃんに関しては無限に語れるわ。
んでふと思ったんだけど、これ主人公「ギンちゃん」なんだよ。決して「ギンギン丸」じゃねぇのだ。
じゃあギンギン丸ってなによ?という話になる。
当時俺は「ギンギン丸」ってのが一体何を指す言葉なのか気になってインストカード読んだんだけど、答えはすぐ分かった。
これ、トラックの荷台のデコレーション部分に「ギンギン丸」って書いてあんだ。
社名なんだよ、ギンギン丸。
運送会社の(衝撃)
社員は「ギンちゃん」と「静ちゃん」と「ブンさん」の三名。
なんかもう「アゴなしゲンとオレ物語」みたいな感じだよ。「有限会社ギンギン丸運輸」とかそんな感じ。
とうぜん「ギン」って付いてるから社長はギンちゃんなんだよ。
あの渋い「ブンさん」って爺のが偉いかと思ったけど、あれ下っ端だからね。
どっかの業界で干されて人生再チャレンジ中なんだよブンさん。
静ちゃんに関しては良く分からんが、まあたぶん(自主規制)だと思う。
すげー世界観だよ、この台。
うらぶれてんだ、なんか。
●どんな台だったか。
ええと、台の中身としては、これは連チャン特化のストック機だった。
解除抽選は「RTテーブル」と「チャンス役」と「純ハズレ」にて行われる。
純ハズレ?
これは5号機世代の人にはちょっと理解しづらい言葉かもしれんが、つまりは「何も成立してない状態」のフラグが純ハズレなんだよ。
純粋なハズレだ。
小役が成立してない=純ハズレとストレートに言っちゃえばいいんだけど、サイレントストック機においては毎ゲーム「揃わないリプレイ」が成立してて、それでボーナス絵柄を蹴ってるわけです。
純ハズレってのはその揃わないリプレイも成立してない状態なわけで、当然ボーナス絵柄は蹴れないから狙えばボーナス揃う(理論上)。
「爆裂王」とかは純ハズレ時しかボーナスが揃えらんない、というのを逆手にとって変な連チャンシステムを練りあげてたもんだよ。
何も成立してない状態、ってのがひとつのフラグとして考えられてた、ってのが面白いよね、当時。
んで他の機種の純ハズレが軒並みプレミア扱いの確率だったのに対して、コイツの場合はメインの解除契機が純ハズレです!って言ってイイくらいの絶妙な確率で発生する。
RTテーブルでの解除は主に「連チャン用」なんだ。
モードは二つあって「通常」と「天国」なんだけど、通常時のテーブルはどうみても600G以降に偏ってて、最深天井は1231G。何気にキツイ。
一方天国はほぼ1/2で32Gまでに解除。殆どの場合が94Gまでには解除する。
絵に描いたような即連機なんだけど、要は「通常モードでどれだけ純ハズレ引いて解除させ、連モで出玉を伸ばすか」の台だったと思っていい。
んでこいつ、めっちゃ伸びるんだよ、連チャン。
そしてハマる時は鬼のようにハマるんだよ、連続して。
荒波ってレベルじゃなかった。
なんでこんな事になってるかというと、内部のモード移行システムが狂ってたからだよ。
これ、ボーナス消化すると次回ボーナスの放出RTゲームを決めると同時に「チャンスゾーン」ってのをこっそり決めるんだ。
例えば32までチャンスゾーンとか、96までチャンスゾーンとかね。
んでその決められたチャンスゾーンのリミット「以内」にボーナスぶち当てたら次回「天国」確定なんだよ。
チャンスゾーンの最短は32G。
でも天国モード中は1/2で32Gまでに解除なワケで、それだけ考えても最低でも1/2で天国は継続することになる。
しかもチャンスゾーンが最短の32Gで終わる可能性は四割ほどで、残りが「64G」「96G」で振り分けだ。
天国の天井はほぼ96Gなわけで、つまりチャンスゾーン抽選で内部的に「96G」が選ばれたら、問答無用でほぼ次回継続確定なんだよ。
ちなみにその確率は3割ほど。96Gまで引っ張られて「ああ、天国終わるかなぁ」と思ったら普通に継続、とかよく見かけるんだこれ。
これね、すごいシステムだと思うよ。
なんせ32G以内にブチ充てれば天国継続が確定するわけでさ、そりゃもう気合も入りまくりだ。
一方で一回クソハマリした時の切なさというか、夢の無さ。これもなかなかのもんだった。
仕様上、ハマリ中は次回ハマリモードがほぼ確定してるわけでさ。
96Gまでのチャンスゾーン中に純ハズレ引くのを祈りつつ、絶望的な気分でプレイするしかねぇのだ。
そう。暑さ寒さのメリハリが半端無く効いてんだ、この台。異常なほど。
ボーナス中にガメラチックな角チェ狙いが必要だったり、絵柄とかもすげーロデオ感があるんだけどさ。
これ書いてて改めて思ったけど、なんかスゲー台だったよ。これは。
惜しむらくは見た目の地味さなんだけど、まー緑バックに緑のジャンパーのオッサンがねじりはちまきでドヤ顔してるパネルなんで「あれー、ドンちゃんの新作?」って思われてたフシはある。
三連絵柄あるしね。三連ギン絵柄。んでこの絵柄デザインもトウの立ったドンちゃんって感じで良い感じでうらぶれてんだ。
ロデオが果たしてどういうつもりでこの台を作ったのか今となっては知るよしもない事だけど、ただ、これだけ色んな機種のプレミア演出にギンちゃんが登場するのを考えると、5号機でギンちゃん出てくる日も近いんじゃないかと思う。
そしたらギンちゃんとゲンさんとドンちゃん並べて、爺を困惑させる店が日本のどっかには必ず出てくると思うよ。
そしてそういうホールは周りから愛されると思う。
【2020年のあしの評】
このように「オリジナルキャラに勝手にキャラをつけていく」という展開をこの頃はよくやってたなぁというのを思い出す作品。今でもたまにやるけども、やる時は決まってネタが無い時なんで、とりあえずこの時もネタが無かったんだと思う。後半のゲーム性紹介は要らんかも。無いほうがスッキリするね。
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