【心の名機】キン肉マン~キン肉星王位争奪編~(YAMASA)

心の名機

(※こちらは2013年頃のエントリの移植になります。言葉遣いが汚い部分がありますが若気の至りゆえ。どうか)

キン肉マン。原作全部読んだ人はどのくらい居るんだろう。
俺? 俺は勿論あるよ。めっちゃ流行ってたもんね。
流行りレベルでいうと、もしかしたら「聖闘士星矢」よりも爆発力あったかもしれないよ。
だって当時はそんなの全く関係ないクリーニング屋とかですら店の前にガシャポン導入して、「キン消し」入れてたからね。
んで新しい超人のキン消しが入荷されたら速攻で品切れしてたもんだよ。
俺も何回か買った事あんだけど、正義超人マジで出なかったなぁ。
当時は今よりも緩い時代だったから、こっそりダマで値上げしてるところとかあってさ。
基本一回100円なんだけど、新しいシリーズの入荷日とかこっそり200円でやってたりね。
んで小2とかには明らかに大金である400円もっていってね。4回ガチャガチャできるぞーと思ったら2回しかできなくて、その時点ですごく微妙な気分だったんだけど、出てきたのカレクック二体とかさ。
周りも人気ねぇ超人しか当たってねぇから変だぞーと思ったけど、だいたいその店、200円渡したらそこから店の親父が100円投入して回すってシステムだったからね。つまり言い値なんだよ。時価なんだ。
最後の方はガチャガチャすら置いてなくて、店の奥からパチもんのキン消し(そういうのがあった)をそのまま持ってきてたからね。「奥で回してコレがあたった」つって。
あ、こりゃあ流石にインチキしてんだな、ってのがちょっと分かったもの。
小2の男子に気づかれるってことはよっぽどあからさまだったんだよ。
まあその店ファミカセのレンタル始めて速攻摘発されて潰れたけどね。
そして俺その時「天地を食らう」を借りっぱなしだったもんだよ。
あれ結局「返せ」って言いに来なかったなぁ……。
ああそうだ、そこ今思い出したけど、「ロッチ」もあったなぁ。

●「ロッチ」騒動。

これ若い子は絶対知らない筈だし、またオッサン連中でもちょっと年代がズレてるとわかんないと思う。
そいう意味ではホントに狭いターゲット向けの話になるんだけど、しらん人はしらんなりに今覚えるといいよ。ロッチ。
コレは今現在35歳前後のオッサンに人に話すと大体笑ってもらえる鉄板ネタだと思う。

ええと、俺達が少年時代を過ごした時代に流行ったのって、だいたい「聖闘士星矢」「ミニ四駆」「ドッチボール」そして「ビックリマン」なんだよ。
あとは「バーコードバトラー」とかもニッチな需要を誇ってたけども、だいたいはやっぱ上記の4つが四天王だと思う。
ロッチというのはその中で「ビックリマン」に関係してくるネタだ。
ビックリマンは言わずとしれたシールなんだよ。
30円でチョコ買うと中にシールが入ってんだ。
俺よりもちょっと年代がズレるとそれがプロレスだったりプロ野球だったり、またJリーグカードだったりする。
ビックリマンがヒットしてた時期って結構短いと思うんだけど、でもそのヒットの度合いがスゲー深かったよ。
一番人気が激しい時とか、結構デカイスーパーとかでもレジの内側にビックリマンがあって、店員に「三つください」とか言わないと買えなくなってた。
コンビニのタバコシステムだよ。
パクリ(?)製品の「ガムラツイスト」とかは普通に買えたんだけど、やっぱビックリマンは格が違った……。

入荷がおっつかなくて、小学校終わってダッシュで買いに行かないと無理だったからね。
ホント俺も足を棒のようにして色々回って、毎日頑張って買ってたよ……。

でね。
これさー、ダメなんだけど、実は結構みんなチョコ捨ててたからね。
俺も頑張って食ってたんだけど、正直全部は食ってらんないんだよ。
だいたい一日100円とかお小遣い貰ったら、それはもう確実にビックリマン三つ買うんだ。
んであのチョコ実際に食ってみると結構モッタリしたるから、三つも食えねぇんだよ。
じゃあ後から食えよと思うけど、やっぱ買ったらみんなですぐ開けるじゃん。中にどんなシール入ってるか知りたいから。
で、あのチョコはウェハースがすげー水分に弱いんで、あけて30分もほっとくとサクサク感が全然なくなるんだよね。
結構頑張んないと食えないの。
んでちょっと事故って1000円とか持ってる時とか、当たり前のように33個大人買いするからね。
33個も食えるワケねぇし、周りにあげようと思ってもみんな日々のノルマの3つをこなすのに必死だから絶対食わない。
だからもう、捨てるんだよ。
マジでスーパーのゴミ箱とかあのウェハースで一杯だったからね。ホントに。

最悪……。と思うだろ?

うん、実際これ、社会問題になったからね。校長先生が全校集会で「ビックリマンチョコのお菓子はちゃんと食べること!」とか訓戒するんだよ。
マジで。そういう時代だったからね。馬鹿馬鹿しいけどゆるい時代だったんだ。
ちなみに俺は一回家でポイっとゴミ箱にウェハース捨てたのを親父に見つかって大説教喰らったよ。
アフリカの子は食べたくても食べれねぇんだぞ!とか言われたけど、いや、俺も別にコレを喰うためにビックリマン買ってるワケじゃねぇし、とか思ったもんだぜ。

さて、ビックリマンシールってのは、表にキャラのデザイン画が書いてあるのはなんとなくわかると思うが、裏には社名が書いてあるんだ。
発売元は「LOTTE」だよ。
LOTTEのキャッチコピーは「お口の恋人」だけど、なんかエロいよね。
まあそれは置いといて、LOTTEは今でこそ赤に白抜き文字でアルファベット表記のロゴを使ってるけど、当時はカタカナで「ロッテ」だったんだ。
ビックリマンの時代も当然カタカナで「ロッテ」だったんで裏にはそういう風に書いてあったんだけど……当時の少年はトレードとかで手に入れたシールの、この部分をまず確認してた。
ここが「ロッテ」じゃなくて「ロッチ」の場合があるからだよ。
つまり、パチもんがあったんだ。
しかもロッテって書いてあっても、よく見ると名札の安全ピンでゴシゴシしてチをテに改造してある場合があるから注意だぜ。
んで普通にやったらバレるんだけど、小学校のなかでもそういう加工が上手いマイスタークラスの奴とかが居て、そいつがやった加工はホントに上手かったりしてさ。
もはや仲の良い奴とのトレード以外は全く気が抜けない状況になってたんだよ。
かと思うと駄菓子屋とかで他校の生徒とトレードした時なんかに普通に無加工のロッチ出してきたりするすると「○○小は遅れてんな」とか思ったりしてね。
なんか上から目線で「これはロッチだからだめだよキミィ」みたいな感じで断ったりしてたもんだね。

ちなみにロッチ作った会社は「コスモス」という。
横にでっかく「COSMOS」って書いてある赤い玩具自動販売機なんだけど、見たことあるかなぁ。
あれで「ドッキリマンシール」を買うと、ロッチシールがたしか30円で5枚くらい買える。んで1枚はヘッド(キラキラ)がついてくる。
リーズナブル……!
んでこの「コスモス」なんだけど子供向けにヒットしてる商品をコピーしてブランド名変えて駄菓子屋に卸す、という手法だけで成り立ってた奇跡の会社だ。
パチもんっつうと海外のイメージあるけど、「コスモス」は正真正銘埼玉の会社だったそうな。
よく知らんが、ガンダムを「ダンガム」にしたりチョロQを「チョロカー」にしたりして販売してたそうな。
いやー、いいね。
そして俺は見たことないけどテレビCMもあり。

お色気&パチもん。
このノリよ。
無意味にパンチラ。
そしてチョロカー(たぶん)
遊んでるゲームもコナミのゲームのデッドコピーらしい。
そのスジでは有名な「ネタ会社」だったらしいが、ロッチの件でやりすぎて上層部が軒並み逮捕されて会社畳んじまったそうな。
まあ、その時に逮捕されてなくても、この会社の運営方針では平成の世を渡ってくのは無理だったろうね。

いやー、いいなぁ昭和。
緩いなぁ……。

んでここまでロッチの話しといて急激に方向転換するが、本日はYAMASAの「キン肉マン 筋肉星王位争奪編」について。
もはや取り繕おうとか前半でネタまいとこうとかそういう狙い一切なしで、ホントのホントにここまでの話は何一つ関係ねぇ……!

●キン肉マンと俺。

最初に言っとくと俺はキン肉マンは「そこそこ好きだった」程度でそんなにラブラブだったワケではない。
星矢は好きだった。ドラゴンボールはめっちゃ好き。
なんであんまり好きじゃないのかなぁと考えたけど、結局は「キン肉マンをギャグ漫画として見てた」からだと思う。
見た目がギャグだったんで。
あと牛丼一筋三百年、の踊りとかね。
アデランスの中野さんとかね。
ギャグなんだよ。
実際原作のゆでたまご先生も最初はギャグとして作ってたんだよね。
でも何かバトルマンガとして人気でたんで、なんか途中からやたらシリアスな展開になってさ。
ミート君とかもバラバラになっちゃうし、「あれ、これなんか違うぞ」って感じだったんだよね。
まあミート君バラバラになるのは今考えるとギャグだったのかもしれんが。
てかやっぱ「キン肉スグル」って名前でウルトラマン的なツノ(?)が付いてるキャラって、ギャグマンガ以外の何者でもねぇんだよ。
父ちゃんの名前は「キン肉真弓」だからね。
当然「真弓信明」と「江川卓」だよ。
この、苗字を名前に持ってくるところとかがもはやそれだけでスゲー笑えるんだけど、じゃあ一体母ちゃんの名前は何なんだっつうと、ググってみたら「キン肉小百合」だってよ。この普通さがまたツボ。
ギャグなんだよな。やっぱ。うん。
でもストーリーがシリアス。
これはアンビバレンツだわい……。

で本機のサブタイトルにもなってる「王位争奪編」はキン肉マンのなかでもシリアス度が高いところらしく、ファンの中にはスロ化を今か今かと待ち望んでた人も居るかもしれない。

YAMASAはその辺のツボをちゃんと抑えてて、本機も原作の名シーンは軒並み抑えられてる模様。
ソルジャーがスーパーフェニックスにマッスルリベンジャーかなんか喰らいながらキン肉マンに「筋肉王家3つの心得」を伝授する演出なんかは、原作をうろ覚えの俺でもグッと来るものがあったよ。

きけぇーースグルゥゥ!

ああ、カッコイイなぁ。
うん。これだよ。
キン肉マン、ギャグ漫画の癖にカッコイイんだよ。ムカつく事に。
んで前作の「キン肉マン」もそうだったんだけど、スロのキン肉マンは概ね「通常シーンがギャグで、バトル中がシリアス」のノリで結構住み分けが出来てたりする。
パチの方は打ったことねぇんだが、まあ似たような感じになってると思われ。
これってギャグとシリアスのバランス取りが難しいこういう原作をスロ化するにあたっては、もはやこれしかねぇ!というほど効率的なシステムになってると思うんだけど、実際のキン肉マンの「ギャグなの?シリアスなの?」という感じが上手に再現されてていいね。

さて、システムについて。

本機のシステムは一言で表すと通常時は「北斗タイプ」でボーナスは「純増管理のART機」みたいな感じだ。
北斗タイプっつうのはつまり、ゲーム数解除なしの小役からの抽選オンリーの台。それは最近は別に珍しくともなんともネェんだが、ちょっと特徴的なのがARTの純増管理の部分。
ゲーム数管理じゃなくて純増管理っつうのはいいよね。
特に「パチンコモード」消化中の時は絵柄揃いからの枚数上乗せ発生時、その消化に専用のステージがあって、その最中に再度上乗せ引くと枚数がどんどん加算されてく状態になる。当然メイン小役の引きが悪ければ悪いほどART状態は伸びる事になるんで、ゲーム数管理型にありがちな、メイン小役が全然来なくてちっとも増えねぇよこのクソゼウスが!という状態は発生しえない。
むしろ上乗せの可能性考えると、リプ連が続くのは歓迎すべき事だったりする。
これはARTに入ったとたんメイン小役が引っ込み思案になる俺みたいな人間にはぴったりなスペックだった。

うん。
良い台だ。

だよな?

いや、実はこの台で特徴的だったのはそこだけじゃねぇ。
むしろこっからが肝心だよ。
つまり、「演出」だ。
これねぇ、今のYAMASAの問題点がギュギュギューッと凝縮されまくってんだよね。
演出に。
いや、YAMASAだけじゃねぇ。
スロにはびこる「パチンコ演出病」とでも言うべき黒い部分が、バッチリと取り憑いてる感じ。

例えばこの台、リールロック(ショートフリーズ)が頻繁に発生して、その間にステップアップ演出が行われる仕組みになってるんだ。

打ったことない人にはわかりにくいかもしれんが、例えばキン消しみたいなフィギュアを集める演出はすこぶる馬鹿馬鹿しい。
リールロック中に一体一体超人フィギュアが集結していって、その数が多ければ多いほど熱いよ!という感じだ。
そんな感じなんで、リールロックの時間の種類が非常に豊富。
なんとショートフリーズが三種類、さらにはミドルフリーズ、ロングフリーズ、そしてスーパーフリーズまで用意されてる。
フリーズしすぎなんだ。
んでこの台はショーフリーズの長さがそのまま小役の強弱に繋がってるのも趣深い。
つまり同じ強チェリーでも、ショートフリーズ無しだとガッカリ。有りでも短いとガッカリ、みたいな感じなんである。
後付けの演出じゃなくて、実際にフリーズ有り無しでARTへの突入率なりモードアップ率が違うんだよ。

言ってみれば、フリーズ有りきの台なんだ。

演出と熱さがリンクしてる……というとそれなりに良さげな感じなんだが、それはやっぱケロット柄でお馴染みのYAMASAなので、このショートフリーズシステムも、どうしても煽るだけ煽ってスカというパターンばっかりが目につく。
もうちょっとショートフリーズの発生率を高くして、すべての小役にほぼショートフリーズがつくようにするとまた違うんだろうし、逆にショートフリーズの発生率をもっと抑えて信頼度を高くするのも良いと思うんだけど、実際の所はいかにもYAMASAだね!な感じの確率なのが切ない。
帯に短し襷(たすき)に長し……なんだよ。こいつのショーフリ率。
んで明らかにクソ短いショーフリだった時の強小役のガッカリ感が半端ねぇのもすげー弊害だと思う。

うん。

いかにもYAMASA。
マジでこれ超YAMASA。
この台を別のところが作ったっつっても俺絶対信じないもん。

●何故か爆裂

というわけで本機は残念ながら、世間の評判は非常に悪かった。
この台を好んで打ってたスロッターをお目にかかった事はリアルでないっす、俺。
ただ、自分自身がどうだったかっつうと、ごめん、俺これ大好きだった(笑)

いやまあ、糞台スキーとしての沽券もあるんだけど、これ、実際結構面白くなかった?

ホントに打てば打つほど問題点ばっかり目につくんだよ。
マリポーサ即死なんかトラウマになるレベルで腹立つんだけど、いやー、なんだろうねこれ。
俺はすげー好きだった。
なんか知らんがフラフラ座ってはショーフリに一喜一憂してたのを覚えてるよ。

んでまあ台の中のおっさんもその俺のマゾっぷりにグッと来たのか、勝率が異常だった。
たぶんだけど、10戦中8回くらいは勝ってると思う。
つまり何が言いたいかっつうと、勝てば良台なんだよ。
もう身も蓋もねぇが、俺はこの台好きだったね。

何故か? 勝ったからだ!

この台で勝ち越して「ウフフ面白い」とかいうのって完全に馬鹿なんだけど、敢えていうね。
面白かったよ! この台!
え? キュロゴス2?

いや、あれも勝ち越してるけど、アレは……。
の、ノーコメントで。

【2020年のあしの評】
ビックリマンとかミニ四駆、それからドッジボールとかのネタは何も書くことが無いときにかなり高確率で使ってたと思う。というか今でも使ってるし、同年代のライターは全部そうだと思う。鉄板オブ鉄板ネタだ。ちなみにコスモスについては他にも詳しく書いてる記事があった筈だけど、どこに書いたか全然思い出せない。自分で読みたい。

コメント

  1. あしのさんと同世代 より:

    懐かしさで一杯すな。ロッチは勿論ブーム全盛の世代ですけどラーメンバーやドキドキ学園などシール付きのお菓子もめちゃめちゃ流行ってましたね。
    ビックリマンアイスもあったし。ジャンプよりコロコロコミックの方が人気だった。

    • ashino より:

      同世代さんチワッス!
      ドキドキ学園! あった。懐かしい。アイスのほうのビックリマンは一発でスーパーゼウス当てたの覚えてます。あとなんか妙にマズかった気がします。へんなチョコ味というか。あー懐かしい……!