【心の名機】ギラギラ爺サマー(大都技研)

心の名機

(※こちら2013年頃に書いたエントリの移植版です。文章の若々しさをお楽しみください)」

前に、「内村プロデュース」という伝説的な番組があった。
ウッチャンナンチャンの内村光良さんがなんか色々やる番組だけど、当のウッチャンはあくまで「プロデューサー」という立場で司会進行(?)に徹し、実際にその指示を受けて面白い事をするのはふかわりょうだったりゲッツの人(名前失念)だったり、または元猿岩石の有吉弘行だったりした。
すげー面白い番組だったんで見てた人も多いと思うけど、中でも俺が最高に好きだったのが「みんなで慰安旅行に行く」という名物企画だった。
意外とありがちなネタなんだけど、とある回のその慰安旅行はマジで面白かった。

誰が面白かったかっつうと、三村だ。
さまぁ~ずの。

とりあえず温泉につかる三村を隠し撮りしてみんなで鑑賞しよう、という流れになった時のVTR。
貸し切りのはずの温泉に、素っ裸の爺が普通に入ってきたらどうなるか? みたいなのを検証するんだが、三村は普通にひとりごとのように突っ込んでた。

そのツッコミのフレーズが「玉なげぇよ」だ。

これまじで凄いと思う。
爺のキンタマみて普通に「なげえよ」と突っ込める大人が、果たしてこの日本に何人いるだろう。
そもそもキンタマに長いとか短いとかあるんだな! とか思って、マジで膝を打つ思いというか、蒙が啓く感じを味わったよ。

そうか、爺のキンタマは長いんだ……!

そりゃあ激動の昭和を乗り切って平成の世を生きる爺だもの、キンタマくらい長くなるだろう。
第一、婆様のパイオツは垂れるのだ。爺様のキンタマが垂れて細長くなるのも至極当然といえば当然の話。
爺ちゃんがいない俺は年寄りのキンタマを見たことなんぞないんだけど、もしかしたら世間の爺のキンタマは漏れ無く長いのかもしれない。
というか俺が知らないだけで、これは当たり前の常識なのかも。
そう考えると、このツッコミは実に深い。

余談だがその後、三村は温泉内で開催された「賞金を賭けただるまさんが転んだ」で、他の芸人(全員裸)の背後に忍び寄ってはキンタマを揉んで笑わせ(!)失格させるというキチガイじみた戦略をとって「玉職人」とか呼ばれてた。
なんか知らんが終始「キンタマ関連で笑いを獲る」という発想が徹底されてて、最高に面白かったよ。

さて、今回は大都技研2010年にブチ上げた爆裂機、「ギラギラ爺サマー」について。
ジィのキンタマもきっと長い。

●爆裂機再び。

ギラギラ爺サマー(以下、ギラ爺)。
これはホントにホントに名機だった。
胸を張って「名機だ!」って言える台って大まかに分けて二種類あると思う。
一つが、台そのものの持つ魅力が高い「完成度タイプ」。
5号機の台だと、例えばロデオのモンハンとかが好例だろう。
取り立てて新しい何かにチャレンジしてたりバクチ打ってたりする訳じゃないんだけど、完成度の高さがズバ抜けてて、抜群の安心感がある。
言うなればスロット・オブ・ザ・スロット。
奇をてらわず、王道を威風堂々と歩んでる感じがして大変好感がもてるね。
この辺は女性に喩えるならば「美女」そのものだと思う。

一方、完成度はさて置き、なんか新しいことに挑戦して見事にそれがハマってる「革新性タイプ」の名機もある。

5号機だとJPSの「2027」とか。ヤマサの「キン肉マン」とか。
この辺りは最初打った時「こうきたか!」と驚きあまりケツがずっと浮いてた。浮揚だよ。ホバーだ。
最近じゃエンターライズの「バイオハザード」なんかも革新性の塊だったね。これもホバー台(なんだそれ)だった。
システム的なものを抜きにしても、史上初の「パイオツとパイオツをぶつけあってオッパボーン」というアルティメットなカメラワークを生み出した「真田純勇士すぺしゃる」とか、この辺は「パイオツの魅せ方に新風を巻き起こした」という意味ではホバー。
最初見た時はバック・トゥ・ザ・フューチャーの「1.21ジゴワット!? 1.21ジゴワットだと!?」つって右往左往するドク並に慌てたもんだ。
これら「革新性タイプ」の名機は上手くウェーブにライドオンすればその後のスロの風潮というか、方向性を一気に決定付けるブレイクスルーになったりもする。
例えば「番長2」はいい意味でも悪い意味でも5号機の寿命を一気に縮めたと思うけど、その遠因になってるのは「エウレカ」だし、元をたどれば「ボンバーマン」にまで遡るわけで、それらは全部この「革新性タイプ」の名機のカテゴリにぶっこんでも間違いじゃない。
当たれば歴史に名を刻む名機。
外れれば単なる「珍台」だ。

こちらは女性に喩えるとするならば「プリケツ」。

コンパ終了後の反省会で「あのプリケツの子けっこう好きだったけど、名前なんだったか誰か覚えてる?」とか、そういう会話が交わされる感じ。
誰も名前覚えてないんだこれが。
最終的に「尻の子」とか仮の名が付けられる事になるんだけど、往々にしてその時のコンパで一番最後まで記憶が残るのはその「尻の子」だったりするから侮れない。

美女か。プリケツか──。

好みはそれぞれあるだろうけど、俺はこれ、どちらも等しく「名機」だと思う。
狙いのベクトルは違えど、面白さを追求する最終的な目的は同じなのだ。

んで本機「ギラ爺」だけど、これは正真正銘の「プリケツ」タイプの台だと思う。

これを打って「王道だ!」とか「正統派だ!」とか思ったスロッターは多分一人もいないだろうし、そう思った人が居るとするなら、その人の見てる世界の景色はきっと、俺とは全く違うものなんだろう。
ほんとに「奇をてらってる」という表現がコレほどシックリ来る台はそうそうないよ。

●どんな台だったか。

これは一言でいうと、ゲーム数管理のARTを搭載したBR+CT機だった。
BIGはプレミア扱いなのでほっとくとして、メインになるのはREGとCTだ。
その内REGは「乗ってけタイム」という獲得枚数40枚程のヤツで、押し順(3択)の正解数やら七揃いの有無やらでART突入の抽選がなされる。
ヤバイのはCTである「ギラちゃんす」。
これは5号機内規の「CTはSINでパンクする」ってのを上手く利用した感じの「獲得枚数不定ボーナス」になってて、SINを回避したゲーム数でポイント抽選を行なう。
一定数以上のポイントを獲得することによりART突入が確定したり、またはART中だったら毎ゲーム上乗せ抽選が行われるわけだ。

あ、今気付いたけど「SIN」ってシングルボーナスの事ね。
以前はシングルボーナスは「SIN」って表記が鉄板だったんだけど、いつのまにやら「SB」が定着してるねぇ。
まあどっちでもいいけども!

何がヤバイかっつうと、この出玉増加装置に「パンク式のCT」を採用したという部分。
これがすさまじい。
何がすげえかっつうと、SIN確率がだいたい1/8くらいなんで、それに合わせて獲得枚数の平均値を逆算して成立確率を算出してるし検定も通してるんだろうけど、やってみるとわかるがこれがメチャメチャ暴れる。
獲得枚数11枚の一撃死も多発するけど、253枚完走もそれなりにある。というか、200枚超えくらいは割りと普通。
当然CT中は毎ゲーム11枚役が揃い続けるし、またCT自体の成立確率も1/130程度と「軽い」部類のため、ART中にCTが数珠連してSINのヒキがゆるいと、ものすごい勢いでメダルが増える。
この「ゴリゴリ感」は5号機ではホントに随一だと思う。
もちろん逆にCTをサッパリ引けなかったり一撃死が連続したりする事もあるわけで、そういう場合はマジで台に頭突きしたくなるくらい増えないんだけども。

さあ、何が言いたいかというと、この台、ヒキによって「出玉の増加速度が全然違う」のである。

このゲーム性はホント斬新だった。
演出の出来もスゲーよかったし、一時期はホントにハマってこればっか打ってたよ。
やたら辛いんで批判が多い台でもあるんだが、俺の中では「忍び魂」「ブラッドプラス」「緑ドンVIVA」と並ぶ、5号機中期を支えた名機中の名機なのだ。コイツ。

●爺の思い出。

最後に、初打ちの時の思い出を。
当時オレは5号機にちょっと飽きてた。
5号機にというか、スロに。
ブラッドプラスは面白くてしょっちゅう打ってたけど、それ以外にグッとくる台が無かったんだ。
リールの回転を眺めるのに倦んでた、といっていい。
必定、スロ屋へ行く頻度も激減し、休みの日はもっぱら映画みたりライブいったりちんまん体操に明け暮れたり……。
スロッターとしては、退化の一途を辿っていたもんだよ。
そこで出会ったのが、こいつ、ギラ爺だった。

「ハー? ギラギラ……なにこれ、ジジイナツ? なんだこれ。オオミヤコギケン? なにこれ。バカじゃん」

すっかり退化してた俺は大都技研すら読めず。
メダル借りるのにサンドの使い方がよく分からずイライラしたり。

「パティスロ? なんだよパティスロって? この三個のボタンを押せばいいのか? バカじゃん」

とか言いつつ、とりあえず万券を瞬殺で溶かして怒り心頭に達したりした。
最後にポッケに残った千円をサンドにブチ込み、「どうでもいいから何か当たれよ」と思いつつレバオンした所でプレミア扱いのBIGボーナスヒット。
ようやく突入したARTで押し順ナビに従う事20Gほどで、画面にいきなり「ギ」って出た。

ギ。

「なんぞこれ。バカじゃ──」

ラ。
ギ。
ラ。
ギラ。
ギラギラ。
ギラギラギラ──。

キーンッ! +300

フリーズからの三桁乗せ。
この瞬間、ケツがホバーした。
んでドヤ顔で消化すること数ゲーム。
また画面に「ギ」登場。

キーンッ! +300

「──うひょー! スロおもしれえ! ああこれBIGはスイカ同時がメインなのか。てことはスイカの次ゲームは中押しで四コマズル滑りで青降ってきたらクッソ熱いんじゃね? ああなんか変な歌流れてきたワロス! ああさっきのあれレアパインってやつか! 1/3000くらいだったら今日中に後三発くらいはカマせるなオイ! やべえなジジイ! さっすがダイト! 順押しAT機開発しただけあるわ! うわコイツCT伸びたらクソほど出玉速度あがるなぁ! いいのかこれ! 風俗いっちゃうかこれ! うおおおお!」

スロって何? レベルまで退化してた俺の脳はこの瞬間にゴリゴリのスロッターとして復活。在りし日のAT機の匂いをちょっとだけ感じ、影山ヒロノブの微妙な歌に横ノリにノリながら、結局閉店まで楽しく打ち倒した。
翌日は仕事も休み。
閉店間際、久々に「明日は朝からスロろう」と固く誓いつつ。
なんだか死に別れた親兄弟がひょっこり現れたような、嬉しい再会の気分を、胸いっぱいに味わった。

【2020年のあしの評】
たぶん内村プロデュースのDVDを見てその事が書きたかっただけだと思う。前半に違うこと書いて後半に無理やり本題を書く、というスタイルはこの辺で既に完成してる気がするけども、実際は単純に「玉職人」って書きたかっただけだろう。そんな話だ。

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