【心の名機】パチスロスパイダーマン3(サミー)

心の名機

(※2014年に書いた記事の移植ッス)

5号機黎明期を支えたアイデアに「ノーベルスロット賞」を授与するなら、それは「完走式リプレイタイム」と「チェリーパンク方式のリプレイタイム」に与えられるべきだと思う。
前者の代表選手といえば「日本松柔道部」やら「美川」あたりか。
で、後者の代表はといえば──やっぱり「リングにかけろ」と「スパイダーマン2」だろう。
流石にこれに異論がある方はそうそう居ないと思うけど、どうかね。
ARTじゃないよ? RTね。
で、リンかけとスパイダーマン。
どちらも低迷を続けるスロ業界の零落に歯止めを掛けた功労者的な超絶名機だけど、俺は特に「スパイダーマン」の方が超好きだった。
マジで面白いんだよこれ。
演出のバランスもすげー良かったし、爆発力も強烈だったし、当たりもそれなりに軽かったしさ。

なにより俺、原作が超好きだったんだ。

さて、本日はそんな「スパイダーマン2」の続編をスロ化した台。
サミーの「パチスロスパイダーマン3」について、だ。

●お約束。

ところで、映画のスパイダーマンシリーズ、みんなちゃんと見たんだろうか。
あ、トビー・マグワイアの方ね。
アメイジングの方じゃない。
あれねー、なんか知らんが評価があんまり芳しくないんだよ。
1は鉄板で名作なんだけど、2と3……特に3が人を選びまくるらしい。

「全部面白かった」って人も居るには居るんだけど、割と少数派な気がする。

理由は簡単で、展開が超クドいからだ。
しかも結構暗い。
思うに、アメコミの映画化!ってことで何も考えずに楽しめる脳筋バリバリのアクションを期待して見た人に、壮絶な肩透かしをカマす形になってるのがイカンのだと思う。

試しに、トビー・マグワイア版のスパイダーマン三部作の特徴を箇条書きにしてみよう。
あ、以下ネタバレ注意ね!
まあネタバレも何もスパイダーマン自体コミック版がクソ有名なんで、ネタバレと言えないかもしれんが。

トビー・マグワイア版スパイダーマンの問題点。

1 ヒロインがビッチ。
2 親友がファザコン。
3 主人公がアホ。
4 敵役が途中でイカれる。
5 笑いどころがマニアック。

こんな感じ。
最初から見ていくと、まずはヒロインね。
スパイダーマンのヒロインは「メリー・ジェーン(MJ)」って女の子だ。
キルステン・ダンストって女優が演じてる。
パチスロ版では美人になってるが、映画版の彼女はストレートな「美人」じゃなく、割と特徴的な顔をしてる。
俺的には結構好きなんだけど、まあこの際見た目は置いとこう。
問題なのが彼女がパーカー君(スパイダーマンの中の人)とハリー君(グリーン・ゴブリンの息子)の間をフラフラしてどっちともチューしたりしつつ、いつのまにやらよく分からん宇宙飛行士とチューしたり婚約したり破棄したりしたかと思うや、またもパーカー君とチューしたりハリー君とチューしたりする所である。
んで三部作の全てに於いて、漏れ無く敵役(以下、ヴィラン)に誘拐され、毎回どこかから落ちそうになる。

これね、普通に見てるとメリー・ジェーンにキュンとくる人はまず居ない。
それどころか、腹が立つ事だろう。
俺も途中ちょっとムカついたし、この辺りは見てる人がどれだけパーカー君に感情移入してるかによって変わると思う。
映画見ながら結構ガッツリ入り込むタイプの人は、恐らくメリー・ジェーンに腹が立ってこのシリーズそのものを「駄作認定」しかねんと思うね。
あとやっぱ、クドいよね展開が。
毎回連れ去られるからねメリー・ジェーン。
1と2はまだ分かるけど、3はあんまり意味なく連れ去られる。
なんで連れ去られたかっつうとやっぱ、これはもうお約束だからとしか言えない。
戦隊物のヒーローとか仮面ライダーとかが、最後はみんな採石場でバトルするのと同じだよ。
大人の理由なんだ。
MJが毎回連れ去られて高い所から吊るされたりするのも、きっとそうなんだろう。
クモの糸を活かした戦いに協力してくれる敵に感謝!
な!

次、親友がファザコン問題。

パーカー君の友達はハリー君っていうんだけど、顔がめっちゃ濃い。もみあげも濃い。
んでその濃いヤツは実家がスゲー金持ちで、父ちゃんは科学者兼社長だったりする。
父ちゃんについては後述するけど、なんやかんやあって死ぬのね。
それをハリーくんは「スパイダーマンのせいだ」と勘違いしてスゲー長時間恨む。
具体的に言うと1の終幕から3の中盤まで恨み、一回記憶喪失になって忘れ(マジ)その後また思い出して恨みが再燃。んでラストでサラっと和解して穏やかに死ぬ。
物語全体の7割くらいを恨んで過ごしてるのに終盤10分で和解して穏やかに死ぬんだよ。
ここは正直笑いどころだと思うんだが、映画批評を読むと「急展開で萎えた」という意見が多いらしい。
いやー、一回無意味に記憶喪失になる辺り、サム・ライミ感があって素晴らしいと思うんだけども。
原作にそのエピソードがあるのか知らんが、あったとしてもこの尺でそのエピソードをブチ込んだのが凄いよ。
10人監督がいたら9人は却下してると思う。
んで残る一人はたぶんホラー映画で主人公の右手にチェーンソー嵌めさせたりして喜ぶ、少年のような監督のはずだ。

次、主人公がアホ問題。

これは全編通してすげー感じる事だけど、主人公がいい感じでアホなんだ。
一応「秀才」って事になってるんだけど、秀才エピソードは控えめなのにアホエピソードはしっかり盛られててとても良い。
例えば彼がスーパーパワーを得て最初に考えたのが「彼女とのデートに行くために車を買うのにこの力を使おう」という俗物全開のアイデアなんだけど、そこで彼が選んだ手段が「プロレスに出場する事」なんだ。
もっと他にあるんだよ。
めっちゃいっぱいあるんだ。
でも彼は素人参加型プロレス(なんだそれ)に出場し、その結果、自分を育ててくれた最愛のベンおじさんが死ぬ(なに!)。
原作ではこの「プロレス」と「おじさんの死」は別の場所で起きる独立したトピックになってるんで違和感なさそうなんだけど、くっつけるとなかなか悲惨。
ついさっきまでプロレスでオレツエーしてたのに、いきなりおじさん死んじゃうからね。
感情が揺さぶられる展開だよこれは。
どう反応していいか分からん。

パーカー君のアホさを物語るエピソードは他にもある。
例えば2には「暴走列車を止める」というシーンがある。
パチスロの演出にも採用されてたんで見覚えがある方も多いだろうけど、乗客満載の列車を止めるのに彼が選んだのが「両手から糸を連射してビルにくっつけ、自分が車両の先頭で蝶番みたいになって止める」という方法だ。
もっと他にあるんだよ。
めっちゃいっぱいあんだ。
絶対ある。よく考るんだパーカー!
自分が蝶番になる必要あるかどうかって部分を重点的に!
さらに3になるとパーカー君のアホさが加速。
もうのっけから超アホで最高に笑える。
2までの活躍で「ニューヨーカーは全員スパイディが大好き」みたいなノリになってるんだけど、思っクソ調子に乗るんだよパーカー君。
んで調子に乗ったところを宇宙からきたシンビオート(黒い共生生物)につけ込まれて「ブラックスパイダーマン」になるんだけど、ここはホントに面白い。
アカデミー賞とかに「調子乗り描写部門」ってのがあったら間違いなく永久名誉受賞だと思う。
なんかさ、ぴちっと分けてる髪の毛をいきなり前に垂らしてね。
んで黒いジャケットとか着ちゃってね。
さらに股間をグイングインとグラインドさせながらニューヨークを練り歩いて、道行く女性一人ひとりをこまわり君の「死刑ッ!」みたいなノリで両手で指差してね。
急にイケメンぶるんだよ。
大学でイジられキャラだったのに、たった二年くらいでこうなりました! ニューヨークって怖いね! みたいな感じ。
いいよホントこれは。


で、ブラックスパイダーマンから分離したシンビオートは後に別のヤツに取り付いて「ヴェノム」ってヴィランが生まれるんだけど、ヴェノムに対してスパイダーマンが言うのが「そのスーツを脱ぐんだ。それは……自分がなくなる……」というもの。
これたぶん、こまわり君状態でドヤ顔しつつ街を練り歩いてた自分の振り返りながら言ってんだろうな……と思うと味わい深いよ。
恐らく、恥ずかしくて寝れない日とかあるんだろうね。
身につまされる警告だと思う。
ちなみにスパイダーマン3のプロモーションコピーは「もう一人の敵、それは自分」というもの。
まあ、後になったら敵だねあれは。
でもその時はすげー楽しんでたよパーカー君。
ノリノリだった。
グイングインしてたよ、腰。

さあどんどん行くぞ!
何ブログだコレ!(笑顔)

●映画ってホントにいいですね。

次ッ! 敵が途中でイカれる問題。

ええと、普通こういうアクション物の映画って勧善懲悪ってか、善と悪がくっきりしててナンボなんだよ。
能動的に悪を選んでる場合でも、やっぱやむにやまれずというか、何らかの理由があって悪に染まってる場合が多いと思う。
だけどスパイダーマンの場合、基本的にヴィランは発狂系なんだ。
途中まで真人間だけど、なんかあってイカれた上で悪に染まる。
スパイダーマンの親友であるハリー君の父親ノーマンは、自分が生み出した薬物でスーパーパワーを手に入れ、ついでに二重人格化してグリーン・ゴブリンになる。
結構いい父ちゃんだったのに、鏡の前で一人二役で声色変えて芝居して「欲望に正直になれ!」「ノォォウ……スタァァップ……」みたいな感じで、いい感じにイカれるからね。
このシーンもホントにサム・ライミ感があって笑えるぜ。
ちなみにノーマン役のウィレム・デフォーはTボーンステーキを骨ごとイケそうなアゴしてる(豆知識)。
ノーマンも大概イカれてるのは間違いないけど、2のドック・オクはもっと凄い。
「私の生涯で一番ラッキーだったのは妻と出会えたことさ」みたいな感じのおノロケ会話があった五分後くらいには、妙ちくりんなロボアームに脳を支配され、その一分後には妻が死ぬ。
瞬殺だよ。んで急転直下でイカれる。
びっくりするのがこっちもノーマンと同じ、幻聴聞こえる系のイカれ方なんだ。
両者とも「最初はいい人だった」ってのと「いきなりイカれる」というのが共通点。
やっぱこう、能動的に悪に染まってるわけじゃなくて、いい人が何か外的な理由でイカれて悪になるってのは後味悪いよね。
まあ原作がそうなんだから仕方ねぇとは言え、カラッとした爽快アクションを期待して見た人はちょっとゲンナリするかもしれない。
俺はすげー好きなんだけどね。このモヤモヤ感。
んで3のヴィランは「ヴェノム」「サンドマン」「二代目グリーン・ゴブリン」の三人だけど、前作までに比べるとちょっとイカれ方が甘い。
その代わりある意味一番の敵の「シンビオートに寄生されてる時のパーカー君」がイカれまくってるんでOK。
大卒デビューって感じ。
腰グイングインするしね。

ラスト! 笑いどころがマニアック問題。

これなー、例えば2でドック・オクのロボットアームを医者が切除しようとするシーンとか、カメラワークがサム・ライミ全開でクソ笑えるんだよ。
寄るからね、カメラ。グイーンて。チェーンソーとかに。
もうサム・ライミはチェーンソー出てきたらカメラ寄らさずに居られないんだよ。
もはやお約束。
てかプロットの段階でこのシーンが出るって分かった瞬間、絶対ニヤけたハズだよサム・ライミ。
しめしめ、これで無理なくチェーンソー出せるな。みたいな感じで。
てかこのシーン作りたいが為にヴィランをドック・オクにしたんじゃねぇかとすら思う。
それから、全体の流れでいうと、「メリー・ジェーンの告白をひたすら拒否するパーカー君」も、ある意味ではネタだと思う。
メリー・ジェーン、決していいヒロインじゃないけど、可哀想なんだよ色々と。
尻軽で惚れっぽいメリー・ジェーンは途中からパーカー君にメロメロなんだけど、パーカー君はひたすら拒否するのね。
んで途中、メリー・ジェーンも諦めるんだよ。
でもパーカー君、そのタイミングで拒否をあきらめて、メリー・ジェーンに逆告白。
んでメリー・ジェーンは新しい彼がいるんで一旦は拒否するも、恋人とのキスがなんか違う……と感じ(これも酷い)改めてパーカー君に告白することに。
晴れて両思い!
と思いきや、そこでパーカー君はまた拒否するんだよ。

「なぜ……この間は、私達はやり直せるって……」
「ああ、そう思ってた事が僕にもあったよ。でも間違いだった」

これ凄く悲劇的に描かれてるんだけど、冷静に考えたらすげー笑えるんだよ。
メリー・ジェーンがピエロすぎる上に尻が軽すぎる。
んでパーカー君ひどすぎる。
これコメディだと思う。

あと、説明されなきゃまず分からないのがブルース・キャンベルの存在。
サム・ライミ映画にちょくちょくカメオ出演してる割れアゴのオッサンである「ブルース・キャンベル」。
「死霊のはらわた」のアッシュ君だと言うとピンと来る方もいるかもしれんが、そういう人はたぶんスパイダーマンでも爆笑したと思う。
基本知らないんだよ、ブルース・キャンベルの事なんか。
知らん人はとりあえず、サム・ライミ映画にはブルース・キャンベルというオッサンがちょい役で出てくる事が多い、と覚えとくといいと思う。
ウォーリーを探せ!みたいなノリで楽しめるだろう。
で、スパイダーマンにもシリーズを通して彼が出てくる。

1ではプロレスの司会役。
2では劇場のドアマン。
で、圧巻なのは3の「フレンチレストランの支配人」なんだけど、なんかこう、シリーズが進むにつれて小ネタを通り越して完全に笑わせに来てるのが凄い。
「いんちきフランス語を話すアゴの割れたアメリカ人」みたいな直球のネタをカメオ出演のオッサンに振るのってどうなんだろう。
んでこの役ってどう考えても「ブルース・キャンベルが出演するのを見越して」用意されたものであって、本筋に全然関係ねぇんだよ。その割にカメラに映ってる時間が妙に長いしさ。
しかもそのシーン、パーカー君とメリー・ジェーンのすれ違いがいよいよ決定的になる、それなりに重要なシーンでね。
割と深刻にギクシャクしてる後ろにね、こう……ちらちらとブルース・キャンベルが映るんだよ。
めっちゃ気になるんだ。
俺もう、そのシーン、ブルースの動きしか見てなかったもん。
しかもいい動きしてっからねブルース。
ピンと来ない人は「死霊のはらわた」「プレスリーvsミイラ男」あたりを見てブルースの顔を脳に焼き付けてから、もう一度シリーズ通してみてみよう。
たぶん笑える。
……余談だが、ブルース・キャンベルはTボーンステーキを骨ごとイケそうなアゴしてる。
一つの映画に二人もTボーンステーキを骨ごとイケそうなアゴしてる俳優が出てくるなんてそうそう無いからね。
それだけでもレジェンドだよ、この映画は。
な。
未見の人は是非どうぞ。
とても面白いよ!

……ふぅ。

とにかくだな。
スパイダーマン。
愛とか責任とかそういう感じで重苦しいムードが徹頭徹尾感じられるんでイマイチ爽快感に欠ける、みたいな意見もちらほら聞こえてくるけども、爽快感とか二の次でいいんだよコレ。
トビー・マグワイアのスパイダーマンは、サム・ライミが放った上質なコメディ映画です!
これね。
間違いない!

イエア!

で、スロな。
ええと、スパイダーマン3な。
なんか二回しか打ったことねぇけど、二回ともフリーズ引いた。
セブフラ音に合わせてメリー・ジェーンとパーカーがチューしてて笑った。
んでART直ぐ終わってビックリした。

以上。

書きたいこと書いてスッキリした!
シーユーな!

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